はじめに:「求人票だけでは応募が来ない」時代に
採用担当者であれば一度はこんな経験があるのではないでしょうか。
・求人票を出してもなかなか応募が来ない
・応募があっても、志望度が低くて面談の温度感が薄い
・内定を出しても「他社と比較して辞退される」ことが増えている
どれも、多くの企業が直面している共通課題です。
とくに中小企業や知名度の高くない企業では、求人票だけでは“魅力が伝わりきらないという構造的な問題があります。
そんな中、近年注目されているのが「採用ピッチ資料(採用向けプレゼン資料)」です。
本記事では、なぜ求人票だけでは足りないのか、そして採用ピッチ資料が志望度向上にどのように貢献するのかを具体的に解説します。
求人票が伝えられること、伝えられないこと

まず前提として、求人票は情報の“型”が固定化されている媒体です。
求人票で掲載できる主な情報
・仕事内容(職種・業務内容)
・勤務地
・雇用形態
・給与・福利厚生
・勤務時間・休日
・応募資格
もちろん、これらは求職者にとって非常に重要な基礎情報です。
しかし一方で、以下のような「感情面」「価値観」に関わる情報は、求人票ではほとんど表現できません。
求人票で伝えきれない要素の例
| 求職者が知りたいこと🔍 | 求人票では伝えづらい理由🚩 |
|---|---|
| 社風・チームの雰囲気 | 定量的に表現しにくく、自由記述欄も狭い |
| どんな人が働いているか | 写真やストーリーの掲載が困難 |
| 会社のビジョンや事業の未来性 | 抽象的な説明になりがちで伝わりにくい |
| キャリアの選択肢や成長環境 | 記述量が足りず、例も載せにくい |
| 働きがい・やりがい | 客観的に伝えるには工夫が必要 |
「情報不足」は志望度低下の大きな要因に

候補者は求人票で情報を得たあと、必ずといっていいほど企業HPや口コミサイト、SNSなどで追加情報を探します。
この時、十分な補足情報が得られないと、以下のような心理が生まれます。
・「雰囲気がよくわからない」
・「なんとなく不安…」
・「他社の方が詳しく書かれていて魅力的」
結果的に、最初から志望度が上がらない、あるいは下がってしまうという事態になりやすいのです。
これは裏を返せば、適切な情報提供ができれば志望度を高めるチャンスがあるということでもあります。
採用ピッチ資料が果たす“志望度アップ”の役割とは?

採用ピッチ資料とは?
「ピッチ」とは本来、スタートアップが投資家に事業内容を伝えるためのプレゼン資料を指します。
採用ピッチ資料は、企業が求職者に向けて“働く魅力”を伝えるためのプレゼン資料です。
形式はPDF・スライド(PowerPoint/Googleスライド)・Webページなどさまざまですが、目的は共通しています。
ピッチ資料が伝えるべき3つのポイント
- なぜこの会社が存在するのか(理念・ビジョン)
→ 求職者が共感・納得できる“理由”を提供 - どんな人たちと働くのか(社風・チーム・人物像)
→ 入社後のイメージが持てる“安心感”を提供 - どんな未来が描けるのか(キャリアパス・評価制度)
→ 自分の成長が想像できる“期待感”を提供
これらはすべて、求人票ではカバーしきれない情報です。
だからこそ、ピッチ資料によって伝えることで、候補者の志望度を確実に高めることができるのです。
実際の導入シーンと効果

✅ 応募前:求人媒体やスカウトメールに添付
求人媒体では、ピッチ資料をPDFでDLできるように設置する企業が増えています。
また、ダイレクトリクルーティング(例:WantedlyやOfferBoxなど)では、スカウト文に資料を添付することで返信率が上がる傾向があります。
~効果~
・媒体上では伝えきれない魅力を伝える補助線になる
・面談の前から企業への理解度が高く、温度感が高い状態で会話ができる
✅ カジュアル面談前後:事前共有 or フォロー資料として
カジュアル面談の前に資料を共有することで、企業への理解を深めてもらい、面談の時間を“深い対話”に使うことができます。
また、面談後にフォロー資料として送ることで、検討中の候補者の志望度維持にも効果的です。
~効果~
・志望度が上がるだけでなく、“選ばれる理由”が明確になる
・他社との比較時に資料を使って整理しやすくなる
✅ 内定後:家族・友人への説明用として
内定をもらった後、Z世代や第二新卒の多くは、家族やパートナーに相談する傾向があります。
この時、「自分が入る会社を説明できる資料」があるかどうかは、内定承諾の決め手にもなり得ます。
~効果~
・入社までの不安払拭やモチベーション維持
・家族からの理解を得やすくなる
どんな企業でも導入できる“差別化の武器”に

「うちはまだそこまで準備できていない」
「大手じゃないから作っても意味がないかも…」
そう感じる方も多いかもしれませんが、むしろ中小企業や知名度の低い企業ほど、ピッチ資料の効果は大きくなります。
なぜなら、
・知名度やブランド力では勝てない分、「誠実な情報提供」で信頼を獲得できる
・選考段階で丁寧な姿勢を示すことで、“一緒に働きたい”と思ってもらいやすくなる
つまり、採用ピッチ資料は規模に関係なく導入できる“情報の武器”なのです。
まとめ:求人票の先にある“本当の魅力”を伝えよう

求人票は、企業が候補者にアプローチする第一接点です。
しかし、それだけでは不十分な時代になっています。
採用成功のためには、「企業の魅力」や「働く意味」を、自分たちの言葉で、きちんと伝える努力が求められています。
採用ピッチ資料は、その最前線のツールです。
「条件は良いのに志望度が上がらない」
「口コミサイトに頼らず自社の魅力を伝えたい」
「面談で毎回同じ説明をしていて非効率」
そんな課題を感じているなら、採用ピッチ資料の導入は今すぐにでも取り組むべき施策です。
候補者に選ばれる企業になるために、まずは「伝える努力」から始めてみませんか?




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